新文化(出版業界紙) 4面記事
本のソムリエ&ロックスター“団長”がゆく!
イギリス書店レポート
発見多い日本書専門店 「JP-BOOKS」 掘り出しモノの希少本も!
'06/7/27

  ごきげんよう!年間1,000冊超の読書を楽しむロックスター&本のソムリエの団長です。新たな本との出会いを求めて、日本を飛び出てイギリスに行ってきました〜! 
  お目当ては、ロンドン繁華街の中心地・ピカデリーサーカス!地下鉄駅を出てすぐのところに有名なエロスの像があり、街は買い物客、観光客で朝から晩まで大賑わいです。周囲のビルには三洋などの日本広告もドーンと出ていて目立ちますが、一番目につくのは通称“観光パンク”と呼ばれる人たち。音楽もやらないのに1日中パンクファッションを身にまとい、観光客にチップを無心する芸人(?)です。いつ行っても必ずいるので、不思議でなりません。
  そんなエロスの像から歩いて1分くらいのところに、ロンドン三越があります。日本の三越と比べるとかなり地味です。店員も日本人、お客さんも日本人なので大昔にタイムスリップしたかのような気分になります。
  この三越の地下にJP‐BOOKSがあります。2000年9月のオープン以来、現地日本人の学びの場、憩いの場として人気を集めています。店内をディレクターの岡本和美さんにご案内していただきました。売り場面積は、ざっと30〜40坪あたり、といった感じでしょうか。訪れるお客さんは、80〜90%日本人。客層は、20〜30代中心で、女性客が多いそうです。週末には駐在員や家族連れも目立つとのこと。たまにやって来る外国人客には、日本の漫画やアニメ雑誌、日本語教本が人気のようです。
  店内に入って、すぐ目を惹くのは雑誌です。売り場の3分の1くらいが雑誌コーナーに割かれています。日本の数週間前の雑誌ばかりが並んでるのかと思いきや、意外にも最新号がズラリ。発売日もそんなに遅れをとっていないようです。それどころか、月刊誌の場合には、配本の関係で日本よりも先に店頭に並ぶケースもあるそうです。驚きました!
  雑誌はとても売れ行きがよく、返本することはほとんどないそうです。
  雑誌とほぼ同等に大面積を占めているのは、文庫コーナー。サイズや値段の面でお手軽な感じが喜ばれているそうです。中でも歴史書が人気です。日本を離れてみることで、むしろ日本への関心が高まるとのこと。司馬遼太郎さんは特に人気が高いようで、棚の一角を独占していました。
  意外に多かったのが日本の英語参考書です。わざわざイギリスに来て、なぜ今さら日本の参考書?と思ったのですが、説明を聞いて納得。つまり、留学に来た人たちは、最初なかなか授業に付いていけないので、慌てて日本語で書かれた参考書を求めてやってくるそうです。授業の内容以前にまず英語を理解することから始めねばならないので大変ですよね。
  ちなみに、書籍のお値段ですが、日本円に換算すると定価の2倍強です。正直、ちょっと高いなぁ、という印象ですが、輸送費もかかりますし、ロンドンにおける日本書籍の希少価値を考えると妥当かと思います。
  ざっと、店内で目に付いたことをあれこれ書きましたが、JP−BOOKSで僕が一番気に入った本を発表します!それは、英国日本婦人会編の「ロンドン暮らしのハンドブック」です。文字通り、ロンドンで生活していくのに必要なことが書かれているのですが、見かけも中身も、手作りノートそのものです。A6サイズです。日本だったら、まず店頭に置いてもらえないと思いますが、この本、実は1982年の発刊から24年も愛され続けているロングセラーです。最初は全て手書きだったそうですが、4回目の大改訂から活字に変わりました。値段も面白いです。“実費5ポンド”と書かれています。日本ではまず入手できないと思いますし、記念に1冊購入して帰りました。宝物です(笑)
  最後に、JP−BOOKSはどんな書店でありたいか、と質問してみたところ、岡本さんは次のようにおっしゃいました。 「ロンドンの日本人は職場や社会でイギリス人との戦いを余儀なくされます。ですから、日本人の皆さんが落ち着ける、居心地いい空間や雰囲気をつくりたいと思っています。日本人はやっぱり日本の活字を見て癒されると思いますので…」。やっぱり、日本を離れてみて始めてわかることがあります。このたび岡本さんを始め、ロンドンで生活する多くの日本人と接することができたのは僕にとって大きな収穫でした。
  以上、団長のロンドンレポートでした!では、また次回。ごきげんよう。


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