読売新聞ニュース
“本のソムリエ”登場 
若者向けフェア きょうから渋谷の書店
'06/10/1

 読書の秋を迎え、渋谷に集う若者に本の楽しさを知ってもらおうと、渋谷駅前の書店が1日から 「本のソムリエ」を自任するミュージシャンに面白い本を紹介してもらう、ユニークな読書フェアを始める。

 この書店は、駅からセンター街に向かってスクランブル交差点を渡ってすぐの場所にある大盛堂書店駅前店(今関稔店長)。客の多くは若者で、売れ筋は漫画や若い女性向けの雑誌など。昨年大ヒットした漫画「NANA(ナナ)」の最新刊発売時には1日で1000冊を売ったこともある。一方、文芸書や文庫本の売れ行きは今ひとつで、店の営業課題となっている。

 若者の活字離れが言われるが、「どんな本を読めばいいのかわからない、という若い人も多いようだ」と今関店長は話す。そこで「若い人の目線に立って本の面白さを紹介できる人」と目を付けたのが、店の出版イベントに出演したことがあるミュージシャンの団長さん(芸名)。団長さんは、ロックバンド「一里塚華劇団」のメンバーとして活動をする傍ら、年間1000冊を読破する読書家。2年前からNPO法人「読書普及協会」の専任講師も務めるなど、「本のソムリエ」として本の面白さを伝える活動もしている。

 今関店長から相談を受けた団長さんは「文化祭のノリでイベントを行えば若い人をひきつけられる」と協力を約束。団長さんは若者の本離れについて「手に取った本がつまらなかったときの手間や時間を惜しむ余り、買わなくなる傾向がある」と分析しており、「本の面白さについて教える人がいると案外手に取ってくれるもの」と語る。

 そこで15日までのフェア期間中は、団長さんが選んだ面白い本、読んで良かったと思える本に、オリジナルの帯をつけ、推薦書として紹介する。帯を付ける本のジャンルは、小説、エッセー、ビジネス指南書、健康など多岐にわたる。1日午後2時からのオープニングイベントでは、音楽DJのように、団長さんがこれらの本の面白さを解説する。また、期間中は団長さんの司会で、絵本作家や本を執筆した女性起業家らによるサイン会やトークショーなども予定している。

 団長さんは「若い人たちの知的好奇心をくすぐる内容にしたい」と意気込んでいる。問い合わせは大盛堂書店駅前店((電)5784・4900)。

【写真説明】(フェアを企画しているJR渋谷駅前の大盛堂書店、団長さん)